慣用法による土留め工の設計では、土留め壁に作用する水圧は静水圧とし、水圧分布は掘削底面で最大となりつり合い深さの位置で0となる三角形分布で考えます。
弾塑性法による土留め工の設計では、地盤条件により、考え方が異なります。以下に地盤条件による水圧の考え方を記載します。
【①砂質土地盤が一様に存在するとき】
土留め壁先端が砂質土地盤のような透水層の場合には、背面側より掘削面側へ地下水が浸透し、土留め壁の下端において背面側と掘削面側で水圧が等しくなると考えられています。このため、静水圧は、土留め壁下端で水圧が等しくなるように、水圧係数Kw(Kw1,Kw2)を乗じるように考えています。

【②上層が砂質土・下層が粘性土の場合】
下層地盤に粘性土がある場合、砂質土層の静水圧の水圧係数は、Kw1=Kw2=1.0で考えます。水圧の傾きが同じで、水圧の出発点が異なるため、pw1≠pw2と考えられます。

【③上層が粘性土・下層が砂質土の場合】
上層地盤に粘性土がある場合、砂質土層の静水圧の水圧係数は、Kw1=Kw2=1.0で考えます。また、土留め壁先端が砂質土地盤であるため、①のケースを適用し、水圧が等しくなります(pw1=pw2)。このため、前面側の水圧と背面側の水圧が同じになります。

【④互層地盤の場合】
①~③のケースを踏襲して考えます。粘性土があることでKw1=Kw2=1.0で考えます。
砂質土層における各層の水圧は、地盤調査により地下水位を把握し、地下水位に応じた静水圧を仮定することを基本としています。各層の地下水位調査結果がない場合は、技術者により見解が分かれるかもしれませんが、背面側は背後水位で掘削面側は掘削面高で設定されていることが多いようです。
また、土留め壁先端が砂質土層の場合、背後水位より考えた水圧で設定されていることが多いようです。
