Question
安定計算結果の「転倒の検討」で赤字(NG判定)となった場合、青字(OK判定)にするためにはどうすれば良いか?
シリーズ:プライム
製品: 任意形擁壁設計システム
タグ: 任意形擁壁
カテゴリー:土木技術の考え方・プログラムの考え方
更新: 2023年08月07日
Answer
転倒の照査は擁壁形式により考え方が異なります。
擁壁形式にあわせて以下の記載を参考にしてください。
- 片持ばり式・重力式の場合
安全率による転倒照査は以下の式により求まる転倒安全率が許容値以上であるかどうかの判定となります。
転倒安全率Fs = 抵抗モーメント / 転倒モーメント
なお、抵抗モーメントは各荷重の鉛直成分×つま先先端からの水平方向の距離、
転倒モーメントは各荷重の水平成分×つま先先端からの鉛直方向の距離、で求めます。
そのため、抵抗モーメントを増やすには単純に重量を増やすのではなく、重量のバランスを背面側になるように形状等を調節するのが対策となります。
偏心距離による転倒照査は以下の式により求まる偏心距離eの絶対値が底版の中心からB(底版幅)/n以下であるかどうかの判定となります。
偏心距離e = B(底版幅) / 2 - (抵抗モーメント-転倒モーメント) / 鉛直力
よって、抵抗モーメントと転倒モーメントの差が小さい程、偏心距離eは小さくなります。
擁壁形状を変化させて重量のバランスを中心寄りになるように調節するのが対策となります。
- もたれ式の場合
偏心距離による転倒照査は以下の式により求まる荷重の合力の作用位置dがつま先先端からB(底版幅)/n以上であるかどうかの判定となります。
荷重の合力の作用位置d = (抵抗モーメント-転倒モーメント) / 鉛直力
よって、抵抗モーメントが大きい程、荷重の合力の作用位置dは大きくなります。
躯体重量を増やす、躯体の傾斜を大きくする、等の躯体形状の調整が対策となります。