Question 
        転倒の検討方法の「偏心距離とミドルサードで比較」と「転倒モーメントと抵抗モーメントの比」の違いはなんですか?
        
                                    シリーズ:プライム
                                    製品:                                    任意形擁壁設計システムST
                                    、任意形擁壁設計システムEX
            
                                    タグ:                                    任意形擁壁
            
                        
                                    カテゴリー:土木技術の考え方・プログラムの考え方
                        更新: 2024年09月18日
        
        Answer
        「偏心距離とミドルサードで比較」について
擁壁底面の中央から荷重の合力の作用位置までの偏心距離eの大きさにより転倒に対する安定照査を行う方法です。
「偏心距離の照査方法」の選択によって、以下の様な照査を行います。
- 
- 底面中央からB/nの範囲内 |e|≦B/n
 偏心距離eが底版中央からB/nの範囲内にあるかどうかの照査です。
 片持ばり式擁壁・重力式擁壁の場合、こちらの方法で照査するのが一般的です。
- つま先からB/nより後方 d≧B/n
 擁壁底面に作用する荷重の合力作用位置dがB/nより後方にあるかどうかの照査です。
 もたれ式擁壁の様なの後方偏心が前提となる擁壁形状の場合、こちらの方法で照査を行います。
 
「転倒モーメントと抵抗モーメントの比」について
「宅地造成等規制法施工令 第7条」に規定されている方法で、擁壁つま先を支点とした転倒モーメント(製品上では反時計回りのモーメント)と、転倒に対する抵抗モーメント(プログラム上では時計回りのモーメント)の比により転倒に対する安定照査を行う方法です。
プログラムではこの比を安全率と定義しており、次式により算出しています。
  転倒安全率 = 抵抗モーメント / 転倒モーメント
この安全率が必要安全率以上であれば転倒に対して安定という判定となります。必要安全率は、「宅地造成等規制法施工令 第7条」には「擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメントの三分の二以下であること」と規定されているため、この場合の必要安全率は3/2 = 1.5となります。